事業承継の計画はお早めに!~引退後の将来設計~

近年の日本で問題になっている後継者問題。

そこで必ず出てくる用語が、「事業承継」です。

文字通り事業を引き継ぐという意味ですが、正直なところ具体的なことは把握できていないという方も多いかと思います。

そこで今回は、事業承継について解説します。

これは現在事業を行っている方だけでなく、脱サラを検討している40代~50代の方にも引退後の将来設計に必要な知識です。

事業の存続という利点だけでなく、より事業を発展させる為の事業承継もありますので、情報収集の1つとしてご覧ください。

事業承継とは?基本から理解する

事業承継

事業承継って何?

突然ですが、皆様の家庭の味はなんでしょうか?

カレー、肉じゃが、卵焼き各家庭によって味付けや隠し味があるかと思いますが、これらを事業承継に置き換えると下記のようになります。

事業承継説明図

親元を独立したあなたは、実家へある日帰省しました。

実家秘伝のカレーの味付けに、自分でも作りたいと母親カレーのレシピを確認しました。

すると、見たことがないスパイスがあり、母親からそのスパイスの購入先を教えてもらいました。

家族に手伝ってもらいながら、実家で同じ味のカレーを振舞うことができました。

その後、自宅でカレーを振舞った友人や家族の意見を基にトッピングや改良により更に美味しくなっていきました。

 

いかがでしたでしょうか。

レシピを引き継ぐように、事業を正しく承継することで会社が永続的に残るだけでなく、事業の発展をすることも可能です。

帝国データバンクの調査によると、事業承継後3年目以降からは、売上高成長率が同業種平均を上回るという調査結果もあります。

さらに、後継者の年齢が若いほど、事業再構築に対して積極的な取り組みを行う傾向にもあるようです。

このように事業承継をただの引き継ぎと考えるか事業の発展の為に活かすかを、この機に真剣に考えてみましょう。

 

事業承継の種類

事業承継の枠組みを理解していただいたところで、承継先を解説します。

事業承継には、大きく分けて3種類あります。

どれも比較的想像のつきやすい承継先なので、メリットやデメリットにも注目してみましよう。

より自身に合った承継先を選択することで、より安心して事業を託すことができます。

 

【親族内事業承継】

世界的にも伝統的な承継先の1つである、家族間の承継。

相続のイメージが強いですが、引退による承継の為に、事業承継を計画している経営者の方は少なくありません。

経営者の血縁として承継する場合、従業員や取引先からの理解を得やすく、伝統や企業文化を維持しやすいです。

その反面、伝統に対して保守的になりやすい傾向がありますので、更なる発展を目指す場合は工夫が必要となるでしょう。

懸念されている方もいらっしゃると思いますが、家族間のトラブルに発展しないようコミュニケーションをしっかりとりながら専門家の協力を得ながら、決定することをおすすめします。

 

【社内事業承継】

こちらも比較的馴染みのある継承先の1つ、従業員や弟子への承継。

事業やノウハウを熟知してい人材に事業を任せることで、会社の安定的な運営が期待できます。

従業員や取引先も、実績のある後継者ならと理解が得やすいことが特徴です。

しかし、従業員としては優れていても経営者として適しているとは限りません。

ですので、候補者がいる時点でなるべく早く経営を含めた後継者育成を始めることをおすすめします。

 

【M&A】

こちらは、家族でも従業員でもない第三者による、合併もしくは買収となります。

親族や従業員にも後継者候補が居ない場合、メジャーな手段の1つです。

今回の場合は、規模の小さい事業で行われる「マイクロM&A」が該当します。

通常の大企業のM&Aと違い、飲食店や美容室など規模が小さい事業が中心なので数百万~数千万円程度で取引されることから言われます。

その為、比較的シンプルな手続きでできる場合もありますが、財務状況や顧客情報をが十分に開示されない場合もありますので、予め十分な調査をおすすめします。

 

【その他:承継と継承の違い】

ここは蛇足ですが、情報収集をしている上で「承継」と「継承」2つの言葉が出てくると思います。

内容を見てみるとどれも同じような内容…。

何がどう違うの?と思われる方も多いでしょう。

「承継」と「継承」は大きな違いは、引き継ぐものが無形であるか有形であるかです。

・目に見えない抽象的な思想や文化、伝統、精神、技術などは、承継。

・その反対に、財産や権利、地位、家業など具体的な概念などは、継承。

厳密な違いはあるものの、一般的には法律用語でもある「承継」を使用することが多いです。

実際の手続きには支障はありませんが、概念として理解しておいて損はないでしょう。

継承先の流れと成功させるポイント

事業承継は、企業の存続と発展のために欠かせないプロセスです。

しかし、その手続きは複雑で、多くの課題が考えられます。

ここでは、事業承継の流れを分かりやすく解説し、成功させるためのポイントをご紹介します。

 

事業承継の流れ

事業承継の流れは、大きく分けて以下のステップで進められます。

図にも表記していますので、大体の流れを把握しておきましょう。

少なからず大きなお金や人の人生が動くイベントとなりますので、長期的かつ入念な準備が必要となります。

どうしても長期間のプロジェクトにはなりますが、未来の為にも焦らず着実に進めていきましょう。

事業承継プロセス

事業承継を成功させるための5つのポイント

企業の未来を左右する事業承継。

承継先が身近であれば身近なほど、トラブルが起こった時の損失は計り知れません。

しかし、規模によって適切な承継方法は異なりますが、成功させるポイントは共通しています。

より事業を発展させるためにも以下のポイントを心に留め承継を完遂させましょう。

 

【1. 早めの準備】

  • 事業承継は、早ければ早いほどスムーズに進めることができます。
  • 後継者育成や事業計画の策定を早めに行いましょう。

【2. 専門家への相談】

  • 税理士、弁護士、公認会計士など、専門家のアドバイスを受けることが重要です。
  • 法律や税金に関する知識が不足している場合、トラブルに発展する可能性があります。

【3. 従業員への丁寧な説明】

  • 事業承継によって、従業員の雇用や待遇が変わる可能性があります。
  • 従業員に丁寧に説明し、不安を取り除くことが大切です。

【4. 金融機関との連携】

  • 事業承継資金の調達や、金融機関からの支援を得るために、事前に相談しておきましょう。

【5. 税金対策】

  • 事業承継には、相続税や贈与税などの税金がかかります。
  • 税理士と相談し、節税対策を検討しましょう。

フランチャイズの事業承継は可能なのか?~相乗効果で得られるメリット~

交渉成立

フランチャイズ事業の承継はできるのか?

ここからは、近年コンビニだけでなく飲食店や塾、配送業など活動が活発なフランチャイズビジネスの事業承継について解説いたします。

フランチャイズビジネスは、すでにあるビジネスモデルを加盟金という形で購入し、利用料を納めることで行うことができます。

フランチャイズ本部と契約するというところから、フランチャイズビジネスは承継とは関係がないのでは?となる方もいらっしゃるでしょう。

しかし、フランチャイズ事業の承継は可能です。

ただし、通常の事業承継とは異なり、フランチャイズ契約の内容や本部の規定に大きく左右されます。

理由としましては、フランチャイズ本部は加盟店の事業承継に対して、一定の審査を行う権利を持っています。

後継者の選定基準、承継手続き、承継後の義務など事業承継に関する規定が契約書に定められている場合がほとんどだからです。

まずは、加盟中もしくはご検討中の本部の確認が必要です。

 

フランチャイズ事業承継の注意点

フランチャイズ事業承継には、以下の注意点も存在します。

契約書でつながっているビジネスにはなるので、違反をするとトラブルになり金銭的な損失だけでなく信頼すら失う場合もあります。

事業承継を成功させるためにも、以下を必ず確認し、本部と相談していただいてから事業承継を進めましょう。

 

【本部の承諾】

フランチャイズ契約では原則として、本部の承諾なしに事業を第三者に承継することはできません。

ブランドイメージやノウハウがビジネスの根幹となるフランチャイズビジネス。

承諾なしに承継した場合、契約違反となり高額な違約金を請求される可能性もあります。

そうならない為にも、本部への相談は必須と心に留めておいてください。

加盟前の方は、説明会など情報収集の段階に確認しておくのが良いでしょう。

なにはともあれ、行きつけの居酒屋が知らないうちに代替わりしていたら、寂しい気持ちになるのと同じで、ビジネスパートナーでもある本部も困惑します。

フランチャイズでなくとも1人で事業承継を行うことは不可能ですので、コミュニケーションをしっかりと取ることを意識しましょう。

 

【後継者の審査】

本部はブランドイメージの維持と事業の継続性を確保する為に、後継者の財務状況や経営能力、事業計画、企業方針に適合しているかなどを審査することがあります。

後継者となるためには単に事業を引き継ぐだけでなく、フランチャイズシステムへの深い理解と、経営者としての能力が求められるからです。

また、本部はもちろんほかの加盟店との関係を良好に保ち、協力体制を築ける人物像であるかも審査の対象になります。

審査と聞くと身構えてしまいますが、後継者と本部の顔合わせの意味合いの方が強いと思って良いでしょう。

 

【契約内容の精査】

承諾後、覚書や契約のまき直しなど行いますがその際にロイヤリティや契約期間、保証金、競業避止義務などの運営に関する内容を確認しましょう。

特に、競業については先ほどもお話した通り、本部にとってはビジネスの根幹となるものなので違反をすれば違約金が発生する可能性があります。

承継後、別の事業を行う予定のある方は始めようとしている事業が競業避止義務違反に抵触しないかのご確認をお勧めします。

 

フランチャイズ事業承継のメリット

金銭面や後継者教育、承継後の運営と承継する側も不安要素は多いものです。

後継者への説明も大切な事業承継のステップの1つです。通常の事業承継と比べた場合、以下のようなメリットがあることをしっかり伝えておきましょう。

 

【金銭面】

何よりも一番心配なのは、金銭面です。

フランチャイズはすでに確立してるビジネスでの運営なので、ある程度の売上が予測可能の為、一からの起業に比べて不安要素が少ないです。

また、顧客を買取運営するタイプの場合は、すでに購入している顧客なのでより明確に、承継後の売上が予測可能となります。

何より加盟金などの初期費用が少なく、機材や設備も整っているというところは一からの起業に比べると大幅にコストが削減できるという面は、安定した事業を引き継ぐことのできるフランチャイズ事業承継ならではのメリットです。

 

【教育】

承継に関して直接的な懸念材料は、後継者の教育です。

しかし、基礎的な教育やノウハウに関しては、本部で研修を行う為、後継者教育が最小限となる場合がほとんどです。

通常なら基礎的な教育を自身で始めるところからになりますが、研修に参加することで本部がそれらを代行してくれる為、スムーズかつ安心してに承継にこぎつけます。

余談ではありますが、前経営者が事業承継後の混乱を防ぎ円滑な事業運営に貢献する場合、その対価として支払う報酬を必要経費として認められる可能性もあります。

完全なる不労ではないものの、社会的なつながりを持ちつつ収入を得ることも可能になります。

この場合、重要なのが知識や経験を活かして会社に貢献する顧問としての契約が必要なので、それらも専門家に相談するとよいでしょう。

 

【事業運営】

本部との契約の対価であるロイヤリティの支払が続く限り、本部からの仕入れや販促活動のサポートは継続しますので、運営への影響は通常よりも少ないです。

不明点があればビジネパートナーの本部に聞けるというのは、後継者にとっても心強くもあります。

通常、承継後1人での運営により問題を1人で抱え込み心身共に塞ぎ込むケースもありますが、フランチャイズでの事業承継の場合は身近に前経営者、本部の人間、同じフランチャイズに加盟する既存オーナーと様々な立場や視野から気軽に相談ができる環境があります。

意外にも孤独を感じることが多いといわれる経営ですが、通常より多い仲間や味方がいることは、フランチャイズならではのメリットといえるでしょう。

フランチャイズ事業承継の一例~ダイキチカバーオールの場合~

ダイキチカバーオールの特徴

前項でお伝えした「フランチャイズ事業承継」という選択肢。

一口にフランチャイズといっても様々な業種や本部の特徴があります。

参考材料の1つとして弊社ダイキチカバーオールのフランチャイズの一例を紹介させていただきます。

 

【親族への承継の場合】

加盟オーナー様のご親族の場合は、名義変更という形で覚書にて事業承継を行っています。

実績があるのは、ご自身の兄弟・奥様・お子様と比較的近しい間柄をイメージしていただければ問題ありません。

承継後の流れ

覚書の制定後、後継者の方には、加盟オーナー様も受けていただいた基本研修に参加していただきます。

こちらは、毎月開催していますので、継承のタイミングも比較的気軽に計画することが可能ですので、予めご相談ください。

研修では座学と先輩オーナー様や前経営者の基でOJTを行っていただき、基礎知識や経験を積んでいただきます。

研修後に担当する物件の清掃に入っていただきますが、いきなり1人というわけではなく、本部スタッフと一緒に慣れていってもらいます。

もちろん前経営者の方が行っていただくことも可能です。

ここまでの流れは通常の加盟オーナー様と同様の現場開始スピードですので、安心して飛び込んでいただければと思います。

慣れていただいたところで、事業運営で困っていることはないか、売上は足りているか、体調の変化など、定期的に本部との面談を行わせていただいています。

承継後もより良い事業運営を実現していただけるようサポートしてまいります。

 

【第三者への承継の場合】

第三者での事業承継の場合は、譲渡の形で行っています。

加盟オーナー様、従業員様、ビジネスパートナーなど幅広い実績があります。

譲渡契約書の制定後、後継者の方がすでに加盟されているオーナー様や経験のある従業員様の場合は、現状の清掃現場+譲渡された現場を回る形になります。

まとめ

会社受け渡す

事業承継は、企業の存続と発展のための重要なプロセスの1つです。

親族、従業員、第三者など、承継先によってメリット・デメリットが異なり、事業承継を成功させるためには、早めの準備、専門家への相談、従業員への丁寧な説明などが欠かせません。

特に、後継者育成や事業計画の策定は、承継後の安定的な運営につながります。

事業承継は、単なる会社の引き継ぎではなく、企業の新たなスタートラインとなるため、慎重かつ計画的に進めましょう。

ちなみにフランチャイズでは安定したビジネスモデルを承継できるので、前経営者のみならず後継者にもメリットがたくさんあります。

是非この機会にフランチャイズについてご検討いただければ幸いです。

2021年からダイキチカバーオールが発信しているYouTubeチャンネル【カバチャン】

よくお問い合わせをいただく、営業不要・売上保証・フォロー体制についても特集しています。

その他にも業界情報、先輩オーナーのインタビューなど様々な動画を配信していますので、情報収集の際はぜひご活用ください。